Uちゃんのこと

大学の友達の訃報を聞いた。

 

4月に亡くなっていたそうで、今私がどんなにショックを受けようとも、半年も前に、もうとっくにこの世からいなくなってしまっていたことに、ぼんやりしてしまう。

 

すごく仲の良い友達だった訳ではなく、ここ2年くらい連絡を取っていなかったので死の詳細が分からないのだけれど、悲しくてさみしいのでUちゃんの思い出を書いておこうと思う。

 

私たちは氷河期世代で就職も厳しく、おまけに私は4回生から社会人1年目にかけて心身とともにガタガタで、大阪府警の1次試験にせっかく合格するも体調が悪くて2次試験の会場にたどり着けなかったり、就職したSE職も東京での新入社員研修で環境の変化についていけずパニック障害になり休職のち退職したりして、本当に散々だった。かたやUちゃんも就職活動が難航していて、卒業間近ぎりぎりで保険のセールスレディの仕事をすることを決めていたように思う。

 

私は実家に戻って1か月ほど療養し、社会復帰のリハビリがてら雑貨店の販売の仕事を契約社員として始めた。母に勧められたのだったか、人生の先行きが不透明すぎるので個人年金にでも入っておこうと思い、せっかくなのでUちゃんの成績になればとUちゃんの保険会社で入ることにした。

 

私の仕事の昼休みに合わせてUちゃんと心斎橋のカフェで待ち合わせして、席に書類を広げて説明を聞いたりハンコを押したりした。私は仕事の休憩時間にそのカフェによく行っていたので、顔馴染みの店員さんが、大丈夫か?マルチか?と心配そうにしてくれておかしかった。お互い大変だけどがんばろうねという感じで別れて、そこから16年経った今でも私はその個人年金を継続している。Uちゃんからは1年に1回は必ず個人年金のことで連絡があった。私が結婚して東海地方に移り住んでもずっと担当者はUちゃんのままだったけれど、2年ほど前に「担当者を近くの事業所の人に替えるように会社から言われて」ということで担当者が替わることになり、その時に連絡を取ったのが最後になってしまった。

 

Uちゃんは、天然ボケでとんちんかんなところがあってお人よしで、嫌味がなく誰からも好かれる女の子だった。サークルの上回生からも同回からも愛されていた。お酒が好きで飲むとおもしろくなるひとだった。

あの頃の私たちを思ってさみしい。

2人の思い出を知っているのは私だけになってしまったな。